車を安く買うには?(個人リース編②)
前回までは
①自動車メーカーと自動車販売店の仕組みを知ること
②業販店を活用すること
③購入の手段としての「リース」を活用すること
以上の、車を安く購入するノウハウについてお伝えしました。
今回は「リース」について深堀していきます。
前回の記事にも書きましたが、リースの話をするとたいてい
「ローンにも残価設定ローンというのがあるけど違いは?」
「リースは最終的にリース会社に車を返却しないといけないでしょ?」
「何かリースにデメリットはないの?」
と、質問されます。この3つの質問を中心に、深堀していきます。
Ⅰ、残価設定ローンとリースの比較
ちょっと難しいと思うので、しっかり読んでいただきたいと思います。
まず、現在自動車ディーラーでは「残価設定ローン」というものを扱っていて、おそらくほとんどの場合、彼らはこれを勧めてきます。一部の業販店でも、同じような商品が出たり無くなったりしているようです。
▽残価設定ローンとは?
結論、リースの仕組みと同じです。5年ローンであれば、5年後のその車の市場価格を残価として設定し、その残価分だけ、全体の車両価格から差し引きます。残った価格でローンんを組むため、月々の支払いは安くなります。5年後に
①残価で買い取る
②残価を払わずに売却する
の2択から選択する感じです。
以上の説明の通り、全くリースと同じ仕組みをローンに当てはめたものです。というか、残価設定ローンは、リースのシステムを真似て作られたものなので当然と言えば当然なのです。
▽残価設定ローンとリース、何が違うの?どっちが良いの?
結論から言えば、リースの方が優れていると個人的には思います。理由は下記2つです。
①リースは残価を高く設定できる
そもそも、ディーラーでなぜ残価設定ローンを積極販売するのか、それは、儲かるからです。
ディーラーの目的は、例えば5年ローンであれば、5年後に顧客から車をディーラーに返却してもらい、それを再販することで得られる売買益と、その先にあるメンテナンスでの利益です。
ディーラーは、必ずと言ってよいほど、自社で中古車販売店を抱えています。新車売るより中古車売ったほうが利益は大きいので、どこの会社もやりたがるわけです。
5年後に顧客から引き取った車を、その中古車事業に流し、利益を乗せて販売、そしてその後のメンテナンス事業での利益に繋げていくのです。
顧客へのセールストークとしては
(5年後)
「お客さん、また良い車が発表されたので、乗り換えちゃいましょう!残価の通り弊社にて引き取りしますので、お客様にご負担いただくお金はございません。それに、また残価設定ローンで購入すれば、月々の支払いは安く抑えることができますよ!」
といった具合で、巧みな話術で車を返却させ、買い取るという選択肢を選ばせないように仕向けるのです。
ご存知の通り、売買益を最大化するためには「安く仕入れて高く売る」ことが求められます。そして、ディーラーにとって、
仕入れの価格=残価
となる事実です。
要は、大きな売買益を出すため(=仕入れの価格を下げるため)に、残価設定ローンで設定する残価を非常に低く設定しているのです。残価が低いと、顧客が支払う部分が大きくなりますから、その分月々の支払いは高くなるわけです。
対してリースは、ディーラーと異なり、自社の中でお金を回して儲けようという感覚はありません。基本的に海外市場への売却をしているリース会社が多いように思います。海外では日本車は非常に高値で売れるので、設定できる残価も比較的高いのです。
以上、「設定できる残価の違い」が、リースと残価設定ローンとの大きな違いでした。
②月々の平準化
前回の記事でもお話しした通り、残価設定ローンもローンの形態の1つなので、やはり頭金や税金、メンテナンス等は別途払わないといけません。
ファイナンシャルプランニングの観点からも、頭金やその他一時的な支出により収支のマイナスを作るよりも、「月々いくら」に平準化できるリースには、一定の価値があります。
以上①②の2つの理由により、リースvs残価設定ローンは、リースに軍配が上がると私は思っています。
Ⅱ、リースは最終的に車を返さなきゃいけないから最終的に不利益では?
次の話題ですが、これはとても気になる点ですね。ここで、面白いデータがあります。
車の平均所有期間、みなさんは何年だと思いますか?
答えは「8年」です。
あくまで平均値なので、10年の人もいれば5年の人もいる、ということです。要は、車は永遠に持つものではない、という事実を知っていただきたいのです。
住宅であれば、一度購入すれば基本的には自分の人生の一生涯、さらに子、孫へとその資産は継承されていきます。だからこそ、賃貸ではなく、ローンを組んででも購入して、自分の資産にすることに一定の意味はあります。
しかし、車はどうでしょうか?これから購入する車が子、孫へと継承されていくようなことはないでしょうし、統計的には、8年もすれば新しい車に乗り換えるんです。それであれば、購入という形をとって自分の資産とすることに、何か意味はあるのでしょうか?どうせ10年も持たないのであれば、予め期間を決めてリースで購入して、月々の支払いを安く抑える方が、私は効率的だと思うのです。
それに、もし仮に、予想以上にその車が気に入ってしまい、もっと乗りたい!なんてことがあれば、リース満了時にその車を残価で買い取ることもできちゃいます。
すなわち、購入して自分名義にしたい!だとか、何となく「借りる」という行為自体に嫌悪感を抱く方も少なくないのですが、それはナンセンスだということです。
感情等に左右されるのではなく、冷静に状況を見極めたいですね。
Ⅲ、リースのデメリットを知りたい
これも重要な質問です。隠すことなく全てお話しします。
①途中解約が原則できない
5年リースであれば5年間は原則解約できず、その車に乗り続けなければなりません。これが、ローンで購入する場合と比べて最大のデメリットとなります。仕事などの関係で、これから何年車を使うかの計画を立てることが困難であれば、リースはおススメできません。
無理やり解約することもできますが、その際は中途解約金といって、ある程度の支払いが発生する場合がほとんどです。
②金利支払い部分が高い(頭金なしの場合特に)
金利のパーセンテージ自体はローンとほぼ同じなのですが、金利の対象となる元本部分が膨らむため(税金や諸費用、メンテナンス料金などが全て込みのため)、金利支払いの実額部分が大きくなってしまいます。
これを回避するために、前払いリース料(頭金)を入れるという方法もあります。金利水準が3%だとしたら、それ以上の運用が将来的に見込めない状況の場合、頭金を入れるのも選択肢に入ってきますね。
ここはその時々の経済情勢や、物価の見通し等を総合的に判断して決断したいところです。
③走行距離の申告が大幅にズレると追加料金も
メンテナンス料金や将来の残価は、月間の予定走行距離に基づいて算出されています。
なので最初に「月々~km走る予定です」というのを申告して、それによって月々のリース料が決まります。よって、リース満了時に、あまりにもその申告とかけ離れた距離を走ってしまうと、その分お金取られちゃうんですね。
でもこれは、残価設定型のローンも同じですし、内容としても理に適ってるので、そんなにマイナスポイントではないですね。
④長期(5年~)になればなるほど、総支払額は高くなる場合も
リース満了の地点で乗り換えたり、または車を手放したりするのであれば、ローンよりもリースに優位性がありますが、リースは何年リース料を払い続けても自分のモノにはなりません。常に月々の支払いが発生しますので、目安として7年以上乗るようですと、ほぼ確実に支払い総額がローンと比べて高くなります。これは、間違いなくデメリットと言えるでしょう。
ただ、リースのメリットの1つはは支払いを平準化することによりコストを明確に把握し、資金計画を立てることができる点です。車の費用だけで見てマイナスになったとしても、資金計画をしかっかりと立てて、その資金を運用していくことにより、家計トータルで見た収支をプラスにすることができます。
ただ、一般の方には、年間の収支計画を立てたところで、資金をどう管理、運用したら良いかわからない、という方もいらっしゃると思います。その場合は、信頼できるファイナンシャルプランナーに相談すると良いでしょう。銀行員とか保険営業マンに相談してもダメです、彼らは彼らが扱っている商品、売りたい商品しか勧めてきませんので。
以上4点が、リースのデメリットとなります。
実際の車の購入の際は、これらのデメリットとメリットを理解した上で、選択していくことが好ましいですね!
次回は、これまでの車の購入についてのまとめをしていきたいと思います。