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金融政策の限界と財政出動|マイナス金利の効果に限界

世界的に低金利が続いており、特に欧州と日本においては、中央銀行の預金金利にマイナス金利を適用する等、歴史的な状況下にあると言えます。米国に関しても、ゼロ金利こそ脱したものの、利上げ回数が当初の予定(4回)を大幅に下回る等、まだまだ低金利脱却には時間がかかる見込みです。

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そもそもこれらの金融政策は、経済の低迷を脱却するために行われます。しかし、現在、過度な金融政策の効果について懐疑的な見方が強まっています。

 

目次

 

 

1)マイナス金利の効果はない?

2016年1月29日、日銀の黒田総裁は、日銀への当座預金金利にマイナス金利を導入することを決定しました。日本の経済史上初の大胆な政策です。発表直後こそ、そのサプライズに市場は好感を示し、日経平均は1000円近く値を上げました。しかし、その直後に暴落し、最終的にはチャイナショック以来の安値を付けるまでに下がりました。

 

「サプライズな発表だから、とりあえず日本株買ったけど、よく考えたら大した効果は望めなそうだ。やっぱり売ろう。」

 

という投資家心理が働いたことになります。これが、市場のマイナス金利に対する見方です。約2か月後の3月10日、ドラギ総裁が中銀預金金利のマイナス幅拡大、そして政策金利の引き下げを発表しました。しかし、これも市場の反応は冷たく、市場回復のためのガソリンとしては物足りないものとなりました。

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近年、日銀の黒田総裁始め、ECBのドラギ総裁、FRBのイエレン議長が金融緩和策を発表する度に、市場は好感を示してきましたが、度重なる金融政策に市場は懐疑的な見方をしています。「金融政策だけでは景気は回復しない」ということに市場が気付き始めたのです。

 

 

2)「財政出動」という次なる一手

「金融政策だけでは経済の低迷は抜け出せないことはわかった。では何をすれば良いのか?」という疑問が出てきますね。

 

答えは「財政出動」です。財政出動とは、例えば「公共事業を増やす」、「税率を下げる」、「補助金を出す」など、政府の財源を使って直接経済を刺激することを意味します。今で言えば、「消費税増税の延期」をすることが財政出動の一例ですね。実際の財政出動の規模や増税の可否については、5月18日に発表される2016年1月ー3月期のGDP速報値等を踏まえて決定されます。安倍総理としては、このGDP速報値が悪い結果であった方が、より大胆な政策に出やすい=結果として景気回復が望めるような気も、個人的にはしています。

 

このような、財政出動による内需の拡大は日本だけで議論されていることではありません。むしろ、米国やドイツ等で積極的に議論されてきたことです。現在、世界中でこの財政出動の議論がされています。言い換えれば、小手先だけの政策(金融政策)には限界があることに世界が気付いたのです。5月26~27日には、「主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)」を控えており、阿部総理はその議長を務めます。その場で、世界に示せる財政出動発表ができればよいのですが・・・

 

 

以上、「金融政策の限界と財政出動」でした。今後は伊勢志摩サミット、選挙、増税の可否と、日本経済そして日本株にとってのイベントが満載です。目の前の株価だけでなく、こういったイベントを頭の中でつなぎ、線で見ていくよう心がけましょう。

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