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大手損害保険会社の労働実態について|ブラック企業|元社員の証言

戦後、日本経済は史上類を見ない勢いで成長しました。そしてGDP世界第2位にまでに躍進(現在は3位)し、先進国として一流の国家を築き上げることができました。これは日本の高い技術力による貿易産業の発展が主な要因ではありますが、それを支えていたのは間違いなく一人ひとりの労働者であり、突き詰めるところ、労働者が身を犠牲にしてまで「長時間労働」していたという背景はあるでしょう

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「長時間労働」、「過労死」、「ブラック企業」このような言葉は今や社会現象化しています。鬱病になってしまう人、過度な労働で命を落としてしまう人が後を絶ちません。これは本当に悲しいことです。労働者を精神的まはた肉体的に追い込むような企業、職場はすぐに抜本的な対策を取るべきですが、現実的に、企業規模が大きくなればなるほどそれは困難です。長きにわたって醸成された企業文化をすぐに修正することは難を極めます。

 

ですから、労働者側も、就職活動する段階で自分が働こうとしている企業や職場の労働実態はどのようなものか知っておくべきです。それが予め分かってさえいれば、それを避けることができるからです。

 

私は、新卒で大手損害保険会社に入社し、6年間勤めた上退職しました。非常に過酷な労働環境であり、世間一般で言うブラック企業に分類されるような企業です。私が今できることは、元損保社員として損害保険会社の労働実態を、事実として世の中に伝えることです。これを見ているのは、就職活動中の学生さんや、転職活動中のお勤めの方であるかもしれません。ぜひ、職選びの参考にしていただきたいですし、何より、世の中に損害保険会社の労働実態を広めることで、少しでも改善の兆しが見えればと思っています。

 

目次

 

▽年間の休日

「損害保険会社の休日はカレンダー通り、平日勤務の土日休み」

 

就職活動時には必ずこう案内されますが、残念ながらこれは建前上です。実態としては、所属部署にも寄りますが土日出勤はかなり多いです。私の所属する部署では、毎週常に土日のどちらかは出勤を求められる環境でした。会社用のケータイも支給されるため、土日問わずガンガン代理店からの問い合わせが来ます。もちろん、これは労働時間にはカウントされません。月末などノルマの達成が難しい場合は、土日の両日ともに出勤しなければ、後日先輩や上司から詰められます。

 

▽日々の勤怠管理

日々の勤怠管理はパソコンで行います。パソコンを開いたら出勤、閉じたら退勤、と言う形で自動で管理されています。これは損害保険会社だけにとどまらず、どこの会社でもあると思いますが、このようにパソコンで勤怠管理しているパターンでは「ごまかし退勤」が習慣化されています。具体的には、「パソコンを切って手作業で仕事を続ける」「自分のパソコンを切って同僚のパソコンで作業をする」「出張の時はパソコンを使わないので休み扱い(必ず取得しなければならない休暇があるのでそれに充てる)にする」などです。損害保険会社の社員は皆がこのようなことを徹底しているので、自分だけこのルールから外れることは事実上不可能です。勤怠の管理者であるはずの上司からそのような指示が飛んでくることも少なくありません。

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特に、上記で挙げた「出張の時はパソコンを使わないので休み扱いにする」と言うのは非常に悲惨です。損保は代理店とのゴルフや、客先に直行直帰などがあるので、パソコンを開かない日が月に1度くらいは必ずあります。それを有給休暇だったり、その他の休暇として処理しなければなりません。これは損保の悪習であり、今すぐに改善しなければならない点の一つだと思います。

 

 

▽ノルマの重圧

損保社員を追い詰めるのは肉体的な面だけでなく、精神的な面もあります。それがノルマです。損保社員はその6割ほどが営業社員であり、ノルマを毎月課せられます。どの業界でもノルマ(営業目標)は当然あるのですが、損保のノルマは桁違いにシビアです。言葉には表しにくいのですが、とにかく損保のノルマは「必達」です。「頑張りましたができませんでした」は通用しない世界。達成できなければ親族から契約を取ってこいと言われた経験もあります。こればかりは経験しないとわからないのですが、精神的にかなり追い込まれていくことになります。

 

上記でも記載しましたが、月末に差し掛かりノルマの達成が難しい状況になると、まず土日祝日は休めません。休んだら、後日怒られます。これもまた、すぐに改善しなければならない悪習です。

 

▽自爆営業の存在

かつてほどではなくなりましたが、損保の自爆営業の額は今でも半端ではありません。企業ぐるみの自爆営業が行われていて、これもまた古くから続く悪習と言えるでしょう。

 

最も有名なのは、やはりマイカーの購入です。損保社員は都内勤務でも、だいたいの社員は車を持っています。正確には、「買わされて」います。損保の収入保険料の過半数は自動車保険であり、その自動車保険を販売している最も大きい代理店は「自動車ディーラー」になります。自動車ディーラーから自社の保険を扱ってもらうために、損害保険会社は様々な支援を自動車ディーラーに行っていますが、その中の一つに、「社員に強制的に車の購入を斡旋すること」があります。部署によってはメーカー指定、ひどい時は車種の指定まであるのです(在庫処分です)。しかも一度や二度ではなく、車検を迎えるごと、3年ごとに買いたくもない車を買わされ、半永久的にローンの支払いに追われるのです。他にも、スーツやケータイ、お菓子やケーキ、御節等、挙げればキリがありません。ここまでくれば当然ですが、営業成績のために自腹で現金を払って保険を契約してもらうなど、まだまだ現代においても行われています(※これは保険業法で堅く禁止されている行為です)

 

▽変わらない管理職

上記に記載したことは当然管理職も知っており、むしろノルマを達成したい彼らからの指示でやることも少なくありません。本来部下の労働管理をするはずの管理職がこれでは、現場は変わりません。私がいた部署がたまたまそうだったのではなく、これは損害保険会社の体質です。近年、本社から労働管理についての通達が出されたり、労働組合の声がけなど始まっていますが、古くからの企業体質を変えるためには力が弱すぎます。社内で罰則規定を設けるなど、痛みを伴う改革を実行しなければ、社風を変えていくことは難しいでしょう。

 

 

以上、いかがでしたでしょうか?上記の話は全て私の体験に基づくものであり、誇張表現や虚偽の内容は一切ありません。今回、この内部事情を公開したのは、もっと損害保険業界の労働事情にもスポットライトが当たって欲しいし、労働環境を良くして欲しいという個人的な願いのよるもので、決して損保会社を非難するつもりはありません。これから就職活動する方や、転職される方などいらっしゃるとは思いますが、損害保険会社はこのような企業風土であることは是非知っておいてください。本記事が、少しでも何かの参考となれば幸いです。

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