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マイナス利回り債権 民間企業で初 メリットは?

目次

1)史上初めての民間企業マイナス社債

日本の企業歴史上初めて、民間企業がマイナス債券(社債)を発行しました。三井住友ファイナンス&リースが、満期まで6カ月の債券を年利マイナス0.001%で50億円分発行することを決めたのです。2016年1月29日の日銀マイナス金利導入をきっかけに、市場金利も低下傾向にあり、「企業がお金をもらって借金する」という異常な事態が発生しました。今後、この流れが他の業界・企業にも広がっていく可能性があります。

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民間企業の社債がマイナス利回りとなるのは史上初ですが、日本国債は既にマイナス利回りです。本日、3月24日地点での日本国債の利回りはマイナス0.09%となっています。これに連動し、様々な債券市場において金利が低下しており、まともにプラスの利回りが享受できる債券銘柄が少なくなっています。

 

さらに、日銀は金融緩和策の一環でコマーシャルペーパー(※下記参照)そのものの買い入れを行っています。2兆円を超える保有残高を維持するために、どんなに低利回りの債券でも購入していく方針です。

 

2)コマーシャルペーパー(CP)とは? 

今回、三井住友ファイナンス&リースが発行するのは、コマーシャルペーパー(CP)です。コマーシャルペーパーとは、短期社債のことを指し、1週間~数ヵ月程度の期間で発行します。借り手(お金を借りた人や企業)は本来であれば当然利子を支払いますが、今回はマイナス金利であるため、お金を借りておきながら利息を受け取ることになります。実際のCP発行額は50億円ですので、年間約2万円の利息を、三井住友ファイナンス&リースは受け取ることになります。

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3)マイナス利回りの債券は誰が買う?

 以前、このサイトの記事で、マイナス国債が出た時に同じ内容を記載しました。

financial-planning.hatenablog.com

 

 

 ここに記載されている内容と全く同じですが、こちらにも記載していきます。

 

まず、マイナス利回りの債券を購入するということは、最終的に元本が割れて償還される(=100%負ける投資)ということです。しかし、利回り自体がマイナスでも、その債券の売買益で利益を出せる場合があります。これが、マイナス利回りでも債券が買われる理由です。

 

債券価格は、金利と逆相関の関係にあります。金利が上昇すれば債券価格は下落し、金利が下落すれば債券価格は上昇します。ですから、今後、さらにマイナス金利が拡大すると予測しているのであれば、債券を満期まで保有せずに途中で売却することによって、売買益を出すことができるのです。国や企業がこうしたマイナス利回り債券を発行する背景には、こうした転売需要を狙ったものがあるということですね。

 

ちなみに、今後の金利の見通しについてですが、日銀の黒田東彦総裁は「必要ならさらに金利を下げる」と発言しています。今の日本経済、ドル円為替相場、日経平均株価の推移を見てみると、現状の政策のままで経済回復を遂げるのは困難だと予想されます。すなわち、更なる追加緩和や利下げ(=マイナス金利拡大)の可能性が高いと言えます。そうなれば、上記の通り、債券価格上昇による売買益が狙えますね。CPやより期間の長い融資や社債も金利は下がりやすくなっており、今後、民間企業でもマイナス金利の発行が広がる可能性もある。

 先週までは決済を担う証券保管振替機構(ほふり)のシステム対応が追いつかず、0%ちょうどでのCPの発行が多かったが、今週から発行が可能となった。

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